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Cute Movies

五日物語 3つの王国と3人の女

「ぞっとする」おとぎ話…

五日物語-3つの王国と3人の女

監督:マッテオ・ガローネ 『ゴモラ』『リアリティー』
出演:サルマ・ハエック ヴァンサン・カッセル  トビー・ジョーンズ ジョン・C・ライリー

作品概要

グリム兄弟にも多大な影響を与えた「ペンタメローネ[五日物語]」の物語の数々から、3つのストーリーを1つのテーマのもと結びつけ、独創的な美的感覚で映像化したのは、『ゴモラ』『リアリティー』で、カンヌ国際映画祭審査員特別グランプリを2度受賞した鬼才監督:マッテオ・ガロ-ネ。
元画家の感性を十二分に発揮して、ゴヤの版画集や古典ホラー映画からインスピレーションを得た、壮麗な中に不気味さを漂わせる映像と、皮肉に満ちたストーリーが融合した、どんな映画にも似ていない、唯一無二の大人のファンタジーが誕生!

ストーリー

3つの王国が君臨する世界。ある王国では、女王が“母となること”を追い求め、また、ある王国では、老婆が“若さと美貌”を熱望し、そして、もう一つの王国では、王女がまだ見ぬ“大人の世界への憧れ”を抱いていた。
やがて、それぞれの願いは叶えられるが、そこには皮肉な運命の裏切りが待っていた…。

記者の見どころ

世界で最初のおとぎ話と言われる「ペンタメローネ(五日物語)」を、そのまま映像化したこの作品、おとぎ話好きの大人にはおすすめ。

最初に言っておきたいのは、どの物語決してハッピーエンドとは言えず、残酷。
それでいて、誰も心底悪者ではない、というところ(結果悪いヤツなのかもしれないけど)。どの物語も“悪意”ではなく、“欲望”がキーワードになっていると思う。

3つの物語があり、すべて主人公は女。それぞれの女の性(さが)の物語

「母になりたい」女
王を犠牲にしてまで母親になった女王は、息子を愛するがゆえに息子の幸せが何かを見失う…

「若返りたい」女
不思議な力で“運よく”若返り、王の妃にまでなった姉と、老婆のままの自分もなんとかして若返ろうとする妹は…

「結婚を夢見る」女
結婚を夢見た王女に父である王が選んだ相手は…

どの女の望みも、決して悪いものではなく、女性なら誰でも夢見るものだ。しかし、

母にはなったけれど
若返りはしたけれど
婿はとったけれど…

そのあとが、どれも残酷な物語につながる。
ファンタジーとはいっても、お子様に夢を与えるお話ではなく、大人に対して「夢はかなったところがゴールじゃないよ」ということを痛みとともに伝えていると思う。

“気になる”ことが心に残ってしまい、その「答え合わせ」のためにもう一度観たくなる。
私は鑑賞後に原作本を買ってしまった。

text by たるぴ