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突撃!シニアライフの現在

「気付き」で変われる! “正しい”立ち方と座り方

“正しい”姿勢とは一体なんなのでしょうか? 理学療法士がオススメする正しい姿勢を学びましょう!


『突撃!シニアライフの現在』は、一歩進んだイマドキのシニアライフスタイルを提案するコーナーです。

前回の記事から引き続き、理学療法士の外崎生才(とのさき ふとし)さんにお話を伺いました。
自分の身体は自分で守るしかない、という考え方を教えてくださった外崎さん。
今回はそんな外崎さんの考える『正しい立ち方・座り方』を教えてもらってきました!

“正しい”立ち方・座り方ってどういうこと?

外崎生才(とのさき ふとし)さん
外崎生才(とのさき ふとし)さん
「私は姿勢が良いです」という人って、なかなかいないですよね。巷には立ち方や座り方に関する情報が溢れていますが、いろんな情報がありすぎてどれが本当に正しいのかわからない!という経験をしたことがある人も多いのではないでしょうか。
理学療法士の外崎さんいわく身体の構造的に“正しい”姿勢とは、筋肉をちゃんと使い、重力に打ち勝っている姿勢のことだといいます。見かけの美しさだけでなく、骨や筋肉が正しくはたらき、自分の体重を支えることができている状態が理想的なのだそうです。くずれた姿勢というのは、なんとか重力に打ち勝とうと無理してバランスをとっている不安定な立ち方なのです。それをずっと続けているとその姿勢のままで固まってしまって、矯正が難しくなってしまうんだとか。日頃から少しずつ“正しい立ち方・座り方”を実践して、意識を変えていくところから初めていくべきなのですね!

ということで、実際に外崎さんによる“正しい立ち方・座り方”のレクチャーを受けてみました。

実践1.『立ち方』編

beforeを撮影しましょう。

ご協力いただいたN氏。<br>日頃から猫背で姿勢が悪いのを気にしているそうです。
ご協力いただいたN氏。
日頃から猫背で姿勢が悪いのを気にしているそうです。
横から見た写真も撮影して、背骨の曲がり具合を確かめます。
横から見た写真も撮影して、背骨の曲がり具合を確かめます。
外崎さんいわく、極端に示すとこんな立ち方なんだとか。
外崎さんいわく、極端に示すとこんな立ち方なんだとか。
赤で示した部分が特に問題があるところです。
赤で示した部分が特に問題があるところです。
まずケア後の変化を見るため、自然な状態での立ち方を写真に撮影します。今回協力してもらったN氏は、日頃からヒールを履いていることもあって、足のつま先とかかとの2点に偏って重心がかかっているようです。そのせいか、どことなく前のめりに見えますよね。横から見るとわかりやすく、膝が前の方に出ていて、背中はそれをカバーするように後ろに下がり、さらにそれをカバーしようと頭が前に出ています。外崎さんが「このままの姿勢を続けていると、こうなるかも……」と極端な例を見せてくださったのが、この写真の状態です。この立ち方はお腹を使って立っている状態で、足の筋肉を使わなくて済むので、ある意味楽にいられる姿勢なのです。しかし見た目は美しくないですし、正しい姿勢とはいえません。腰がつっぱり、見ているだけで痛くなりそうですよね……。

コツを教えてもらいましょう。

全身にぐっと力が入ります。
全身にぐっと力が入ります。
外崎さん流の正しい立ち方のポイントは3つあります。
まずは
膝のお皿を外に巻き込むようにおしりを締めるということ。ここで重要なのは、単に太もも同士をくっつけるというだけでなく、外側に巻き込むようなイメージで力をいれるということです。足の親指と小指にぐっと力がかかり、きちんと踏みしめているような感覚があればバッチリです。
次に
両肩を下げるということ。地面に引っ張られているようなイメージをするとやりやすいです。不思議なことに両肩をまっすぐ下に向けると、自然と頭が上に引っ張られるような感覚になります。この動きによってまっすぐ前を向くことができるのです。
最後にお腹に力をいれるということ。N氏の場合は全体的に身体の左半分の力が弱く、beforeの写真でもわかるように、やや左肩がさがってしまっていました。お腹の中に2個風船があるとすれば、左側の風船がしぼんでいるような状態になっていたのです。この2つの風船が同じ大きさに膨らんでいるとバランスが整います。笑うときのように
お腹の横に力をいれれば、お腹が横に広がるような感覚を味わうことができます。
「すっごくつかれます!!」
「すっごくつかれます!!」
足を揃えてまっすぐしゃがむこの動作が、<br>O脚の矯正にもなるそうです。
足を揃えてまっすぐしゃがむこの動作が、
O脚の矯正にもなるそうです。
外崎さん流の立ち方は筋肉を使った立ち方なので、これだけでも運動になるそうです。さて、このレクチャーを受けてN氏の姿勢はどのように変わったのでしょうか?

before afterを比べましょう。

before
before
after
after
before
before
after
after
床をしっかりと踏みしめ、頭は天井から引っ張られているようなきれいな姿勢になっているのがわかります。特に横から見た変化は一目瞭然で、猫背で前のめりになってしまっていた状態が改善され、頭もまっすぐ前を向いているのがわかります。自然と顎も引いた状態になっていますね。
実はこのafterの写真は外崎さんがケアした直後というわけではないのです。ずっと力を入れっぱなしというのは大変なので、一度力を抜いてからまた自力で正しい姿勢まで持っていく、ということを繰り返します。これによって、自分の力で姿勢を矯正することができるようになるわけです。

実践2.『座り方』編

beforeを確認しましょう。

「良い姿勢」を意識している感じです。<br>やや前のめりになっていて、重心が不安定です。
「良い姿勢」を意識している感じです。
やや前のめりになっていて、重心が不安定です。
正しい立ち方をマスターしたら、次は座り方を学びましょう。こちらも矯正前の姿勢をチェックするところから始めます。
改まって撮影するとなると、大抵の人が「ちょっと良い姿勢」をとろうとするんだそうです。写真のN氏も意識したといいます。一般的に正しい座り方というと、背筋をピンとのばして座るということを思い浮かべますが、実はそう意識すると必要以上に背中が沿ってしまうことが多く、あまり良い座り方ではないんだとか。特に女性だと、かかとがつかないので浅く座りがちということもあります。筆者もいつもかかとがつかなくて、つい足を組んでしまうことが多いのですが、身体の構造的に正しい座り方とは一体どのような座り方なのでしょうか?

コツを教えてもらいましょう。

「く……くるしいっ!」
「く……くるしいっ!」
外崎さん流の正しい座り方のポイントも3つあります。
まずは太ももとおしりの境目あたりに重心を置くということ。実際にやってみてほしいのですが、このあたりに力をいれると、浮いていたかかとが地面につくんです! ここを意識することで、骨盤が起き上がり、脚が本来の長さを取り戻し、普段より少し長くなるのだそうですよ。
次に肋骨をしめるということ。上記した重心の位置を意識すると、背中が沿ってつっぱるような感覚になります。それは正しい状態ではないので、肋骨をぐっとしめることが重要になるのだそうです。
最後に両足で床を踏みしめて上にのびるような感覚をキープすること。つまり、「足で座る」ということです。言われなくてもわかっているような気がするのですが、冷静に振り返ってみると、足ではなくておしりで座っていることが多いのではないでしょうか。
「骨盤をたてる」がカギです。
「骨盤をたてる」がカギです。
足全体に重心をかける座り方をすると、足を組むこともありません。むしろこの状態で足を組む方が難しいと思います。これが身体構造的に正しい座り方です。
3つのコツを教えてもらいましたが、いちばんのカギは「骨盤をたてる」ということ。重心の位置を意識するのも、そうすれば自然と骨盤が正しい位置にくるからしていることなのです。これがもっと簡単に実践できるのが、写真のように足を大きく外にひらいて座る方法です。こうすると勝手に骨盤が起き上がるため、外崎さんはよく患者さんにすすめるんだとか。たまに「仕事場で実践していたら怒られた」といわれることもあるそうです(笑)。

さて、デスクワークが多く座り方に自信がなかったN氏ですが、外崎さんのレクチャーで正しい座り方を身につけることができたのでしょうか?

before afterを比べましょう。

before
before
after
after
ケア後の写真では重心がしっかりと感じられませんか? 頭と腰の位置がまっすぐなので、見ていて不安にならないきれいな座り方ですよね。ケアする前も自己流で「正しい姿勢」を意識していましたが、その差は一目瞭然です。
実際にケアを受けたN氏いわく、「これがまっすぐだという感覚を持つのがすごく難しい」とのことでした。実際に身体がまっすぐな状態と、自分の頭のなかで描いている身体がまっすぐな状態にギャップがあるんですね。しかし外崎さんは、そのことに気付くことがまず大事なのだといいます。正しい姿勢を手に入れるには「気付く」ということが始めの一歩なのです。

より密なケアを受けたいなら、Tono's Roomへ!

さて、今回外崎さんには『正しい立ち方・座り方』のポイントをレクチャーしていただいたのですが、普段だと一人ひとりの患者さんに合わせたケアを行うために、まず身体を診て筋肉の足りない部分のエクササイズを行なってから姿勢改善に取り組んでいく、という風にすすめているのだそうです。二子玉川にオープンするケアコンディショニングルーム『Tono's Room』では、外崎さんによる密なケアを受けることができます。「できることがあればなんでもやりたくなっちゃう」と笑う顔が素敵な外崎さんに、ぜひ会いに行ってみてください♪

編集後記

聞き手:O
聞き手:O
さて、『突撃!シニアライフの現在』の第6回はいかがでしたか?
実はこの記事を書くときに、「正しい座り方」を意識していたんです。デスクワークをしているとつい足を組んでいることが多くなってしまい、身体にとっても見た目も良くないなぁと思っていたところだったので、今回はこのような取材ができて本当に助かりました。実際に、これまでと比べものにならないほど足を組む回数が減り、快適に過ごすことができましたよ。「正しい立ち方・座り方」、本当にオススメです。

2015/06/05