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今さら聞けない!介護のいろは

介護のいろはの『ろ』~福祉用具・世田谷区の介護編~

介護保険制度を使ってできること。介護保険制度を使わなくてもできること。

『ろ』~福祉用具・世田谷区の介護編~で覚えておきたいポイントはこの3つ!

相談員:渡辺さん(イメージ)
相談員:渡辺さん(イメージ)
介護保険制度を利用して福祉用具を使おう!
便利な福祉用具を使って楽しく介護しよう!
世田谷区で受けられるサービスを知っておこう!

前回に引き続き、「ベネッセの介護相談室」の相談員・渡辺祥子(わたなべあきこ)さんに直接聞いてきました。「ベネッセの介護相談室 成城」がオープンしたので、世田谷区民の方も気軽に相談に行けますね!
聞き手:O(イメージ)
聞き手:O(イメージ)
聞き手は『突撃!シニアライフの現在』でもお馴染み、まいぷれ編集部員のO。前回取材した第1回で介護マスターに一歩近づいた気でいるようですが、実際のところはどうなのでしょうか?

車椅子や歩行器が介護保険で借りられる!?

――前回の講義で介護保険制度を使えば介護を支援するさまざまなサービスを使えるということがわかりました。今回は実際に使えるサービスとして、気になる『福祉用具』について詳しく教えていただきたいです。
「歩行補助杖」もレンタルの対象です。
「歩行補助杖」もレンタルの対象です。
まず福祉用具サービスは基本的に在宅で介護をされる方が利用できるサービスです。お身体の具合が悪くなってきて、日常生活に支障がでてきた場合に利用することができます。福祉用具サービスには介護保険を使ってレンタルできるものと購入できるものがあります。車椅子や介護ベッドなど他の方との使い回しができるようなものはレンタルで、腰掛便座や入浴補助用具など入浴や排泄に用いるものは購入というようなしくみです。
――具体的にはどれぐらいの費用負担でサービスを受けられるのですか。

レンタルの場合は、レンタル料の1割が利用者負担となります。購入の場合は、10万円を限度とし、実際にかかった費用の9割が支給されることになります。ただし、行政から指定を受けた「特定福祉用具販売事業者」からの購入品が対象となるので注意してくださいね。これらの福祉用具は、ケアマネジャーの助言を受けて主にカタログから選び、販売事業者のフィッティング(調整)の後に購入することが多くみられます。
――福祉用具を使うことでどのような効果が期待できるのでしょうか。
いつもの動作をちょっと便利に。
いつもの動作をちょっと便利に。
たとえば膝や腰を曲げるのが大変で、一人でトイレをするのが難しくなったとします。だからといって、いきなり誰かにトイレまでついてきてもらうというのは精神的に抵抗がありますよね。そういう場合に、福祉用具の補高便座を使って洋式便器の高さを補えば、なんとか一人でできるかもしれません。いきなり誰かに頼んで介護をしてもらう、ということではなくて、これまでの生活の質を落とさずに、いかに長く保ち続けていけるかという視点で介護に向き合うことが重要です。介護をする側にとっても、される側にとっても、重たい気持ちにならないように、使えるサービスは活用した方が良いのです。
――確かに「いきなり生活の質が落ちる」というのは精神的にも参りますよね。そういったことを防ぐためにも福祉用具を活用することが大事なのですね。

知っててよかった! 便利な福祉用具を使って介護の予防・負担軽減!

――福祉用具サービスをレンタルする場合、用具の色やデザインを自分で選べたりするのでしょうか。
百貨店でお買い物ついでに探せます。
百貨店でお買い物ついでに探せます。
残念ながらそれはできません。基本的には同じ色・かたちのものが支給されます。でも、世の中にはたくさんの福祉用具があります。車椅子だって人によって使っているものが違いますよね。福祉用具サービスで借りられる車椅子は同一のものなので、必ずしも自分にぴったり合うとは限りません。福祉用具サービスしか活用してはいけないということはないので、たとえば百貨店や大きめのスーパーマーケット、その他にも世の中にどんな福祉用具があるのかということを探してから決めると、さらに自分に合った判断ができると思います。中には介護保険制度を適用できる場合もありますので、担当のケアマネさんに相談してみましょう。そもそも福祉用具をどこに見に行けばいいのかわからなかったり、何を基準にして探せばいいかわからなかったりした場合には、私たちのような介護相談室に相談に来ていただければ、お悩みに応じてアドバイスいたします。
――便利な福祉用具にはどのようなものがあるのでしょうか。
いろんな補助道具があるのです。
いろんな補助道具があるのです。
福祉用具を使ってちょっとした工夫をすれば、介護の負担が少なくなることがあります。たとえば防水シーツを使うと、防水加工によっておねしょなどの片付けがとても楽になります。肌触りは通常のシーツと変わらないので、寝心地が変わるということもありません。

食事の補助道具などもあります。たとえば食器の裏にすべり止めがついていることで、片手で食べていてもスプーンですくえるというお皿や、口の部分が曲がっているので手首をあまり曲げなくても口へ運ぶことができるスプーンなど、さまざまなものが販売されています。

洋服や靴などの身に付けるものにも、介護に特化したものがあります。たとえば腰が曲がっていても綺麗に着られるように元々後ろ身頃が長く設計されている洋服(例:『突撃!シニアライフの現在』第2回のマダムトモコ)や、マジックテープが大きく開くことで履きやすい靴などがあります。


可能な限り日常生活を自分自身で送るために工夫された道具を自助具といいます。このような自助具を日常的に使うことで「なるべく自分で身体を動かす」という習慣が身につき、介護予防や介護度の進行防止につながります。また、介護をする側にとっても、介護の負担を軽減できる道具が多数あります。介護する側もされる側も、無理をしすぎずに、前向きに「介護」に向き合えるようになるのです。
――福祉用具を活用することで、楽に介護の負担軽減や予防を行うことができるのですね。

世田谷区がふとんを干してくれる!?

――最後に世田谷区が行なっている高齢者支援サービスについて聞かせてください。

行政によって行なっているサービスに若干の違いはありますが、基本的にはどの行政でも同様なサービスを受けられます。世田谷区で受けられるサービスの中で、私が特に良いなと思っているのが「寝具乾燥サービス」です。これは、お身体の具合や住宅の環境によって寝具を干すことが困難だという方の寝具を乾燥・水洗いしてもらえるというサービスです。こういうことってまず「人に頼める」という発想がないものです。でも寝具って毎日使うものだし、特に清潔にしておきたいものですよね。身体の調子が悪くなったときに諦めてしまうのではなくて、こういうサービスがあると知っておけば、過ごしやすくなるのではないかと思いますね。
――そういうサービスについて知るためには、前回も教えていただいた地域包括支援センターに行けば良いのですね?

そうです。でも、もっと細かいサービスになるとひとつの窓口では済まない場合もあります。たとえば世田谷区の場合は、ご高齢の方向けに特化した賃貸物件情報提供サービスや居住支援制度などがありますが、そちらは『住まいサポートセンター』というところが担当です。また、はり・きゅう・マッサージなどの治療を受ける場合には、『高齢福祉課事業担当』というところが窓口となっています。どこかひとつの窓口ですべての相談ができれば良いのですが、なかなか難しいのが現実です。その点、我々のような民間の介護相談室だと、行政のサービスについても横断的に情報発信できますし、それ以外の民間業者が提供しているサービスをおすすめすることもできます。
――相談するなら幅広い提案をしてもらえるところに相談したいです。自分でも気付かなかったことを気付かせてもらえる気がします。
信頼できる「窓口」があると安心です。
信頼できる「窓口」があると安心です。
福祉用具の活用などもそうですが、「もっと楽にできる」ということを知らない方もいらっしゃいます。「介護はこういうものだ」と決めつけて、自ら苦しんで介護をしているという方です。私たちからすれば、行政・民間問わずにさまざまな介護サービスがあるのに、知らないのは勿体ないことです。ベネッセの介護相談室に来る方も、話してみたら当初の悩みよりも深い悩みが見えてきたということがあります。「誰かに話す」だけでも世界の見え方が変わってくると思うので、なにかわからないことがあったら、気軽にご相談に来ていただければと思いますね。
――自分で調べるのも限界がありますものね。豊富なサービスから自分に合ったものを見つけ出すなんてなかなか骨が折れる作業です。「誰かに聞いてみる」というのが一番手っ取り早いかもしれませんね!

聞き手Oの編集後記

聞き手:O
聞き手:O
今回は知っているようで知らない「福祉用具」という切り口から相談しました。「車椅子」や「杖」は馴染みがあるけれど、実際には衣食住だけにとどまらず多くの場面で福祉用具が活用できるということを知りました。福祉用具はカタログで注文し購入することが多いそうですが、実際に百貨店などで実物を見てから購入を考えてみるのも良いのではないかと思いました。今回も記事には収まりきらないほどのお話を教えてくださった「ベネッセの介護相談室 成城」の渡辺さん、ありがとうございました!

そろそろ具体的な介護についてイメージができてきましたか?
次は、誰もが気になる「お金・住まい」について学びましょう!
介護のいろはの『は』~お金と住まい編~へつづく!